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ウイルス(Virus)
狂犬病
(Rabies)
狂犬病ウイルス(rabies virus)による、犬、猫、人のウイルス感染症。
狂犬病ウイルスは、犬、猫、人に限らず、温血動物(*)全般に感染が可能で、発症すると有効な治療法はなく、死亡率はほぼ100%である。
狂犬病に感染した犬猫に咬まれることにより、犬、猫、人は狂犬病ウイルスに感染する。
狂犬病ウイルスは唾液に多く含まれる。
感染した狂犬病ウイルスは神経を伝って脳に行き、脳内で増殖したのち、再び神経を
伝って、唾液腺をはじめとして各臓器に移動する。
普通ウイルスは、感染した部位から近くにある血管に入り、血液の流れによって速やかに他の臓器に移動し病気を引き起こすが、狂犬病ウイルスは神経を伝って移動するため(例えて言うなら、歩いて脳まで行くようなもの)、咬まれた部位(咬傷部位)により、発症するまでの時間が違う。一般的には脳に近い咬傷部位ほど、狂犬病ウイルスの発症は早いと言われている(狂犬病ウイルスが血液の流れに乗って、脳に到達した事例もあるが主な感染ルートではない。また外国では、洞窟調査のために入った人が、洞窟内に住む狂犬病に感染したコウモリの排せつ物や唾液を、コウモリが出す超音波によって霧状となり、それらを吸引したことによって狂犬病を発症した例が報告されている)。
犬は、狂犬病予防法により、年1回の狂犬病予防注射が義務付けられている。
犬に狂犬病予防注射を受けさせることは飼い主の責任です。人は犬に狂犬病予防をしてもらうことで、狂犬病という脅威から守られるのです。したがって、犬の飼い主は狂犬病が国内で流行するのを阻止する義務、すなわち狂犬病予防注射をしないといけないのです。
日本では、国内に生活している犬の約40%しか狂犬病予防注射を受けていないと思われ、仮に日本に狂犬病が持ち込まれた場合、流行する可能性がある(流行を阻止するためには、約80%以上の接種率が必要と言われている)。日本では、空港、港湾等の外国との窓口となるところで、動物検疫を強化し、国内に狂犬病ウイルスが持ち込まれるのを防いでいるが、渡り鳥、密輸された動物等が国内に狂犬病ウイルスを運んでくる可能性も指摘されている。
日本では2006(平成18)年に、海外で狂犬病の犬に咬まれ、帰国後発症、その後死亡した例が2例報告されている(人の輸入狂犬病)。
(*)温血動物
恒温動物ともいう。鳥類やほ乳類のように、外の温度(気温)に関係なく、体温を一定に
保つことが出来る動物のこと。
(参考:狂犬病、FORTH 厚生労働省検疫所)